2014年 第6回かながわ新聞感想文コンクール

中学2年生の部 優秀賞(神奈川新聞社賞)

声なき声を聞くために
川崎市立高津中学校
浅野 愛子

 私は、新聞記事のスクラップブックを作っている。気になった記事を切り抜き、ファイルし、折にふれて読み返している。最近、ファイルを整理していて気づいたこと―それは社会的に弱い立場の人々をとりあげた記事がとても多いということだ。
 内戦で、災害で、公害で、病気で、失業中で、貧困で…。実に様々な原因で、生活が困難であったり、不自由さや不公平感を抱えながら生きている人々が多くいることを記事を通じて改めて知ることができた。そして、又同時に、そのような人々を助けるための手段や方法が、まだまだ全然足りていないという問題にも、気づくことができた。
 普段、新聞を読む時、まず、大きな見出しに目がいく。でも、私は、大きな記事よりも小さなコラムの連載記事に心惹かれることが多い。記者独自の目線で客観的な立場で、感じたことや問題点が、こちらに伝わるように、丁寧に書かれている、そんなコラムの世界にいつもひきこまれる。記事からは、決して、自分に関係がない遠くで起きている物語ではなく、ごく身近にあるすぐ傍らの現実であることが、ひしひしと伝わってくる。
 コラムの連載が終わると、私は、さらにもっと問題点を深く知りたくなる。そして、自分にできることを考えたくなる。新聞は、いつも私に、考えるきっかけを与えてくれる。
 もしも、私たちが問題点に気づくことがなければ、世の中の改善できる多くのことも、そのまま放置されてしまうだろう。又、たとえ根本的に解決が難しい問題であっても、私たちが関心を持つことにより、現状よりも少しでも良い方向に向かっていく可能性があるはずだ。新聞には、間違いなく、私達の心を動かし行動をおこさせる力があり、そして、今困っている人々を救う力、環境を変える力があるのだ。
 世の中には、まだまだたくさんの、問題にされていない問題が、かくれている。声にならない声が埋もれている。苦しい現状を訴えることのできない人々が、ひっそりと存在を忘れられたように生きている。
 もしも、私が新聞記者だったら、社会の片隅に眠る、小さな、でも深刻な問題をとりあげて記事にしたい。辛い現実の中で、助けを求めたくても求められない、その方法すらみつけられない、声なき声に耳をかたむけたい。
 
私は、これから、もっと多くの言葉を学びたいと思う。正しく、真実を表現する力を身につけ、一人でも多くの人の心に響く記事を書ける、そんな新聞記者に私はなりたい。
課題(2)

問い合わせ先
神奈川新聞社
かながわ「新聞感想文コンクール」事務局
電話:045-227-0707(平日、午前9時半~午後6時)

(C)2010 Kanagawa simbun All Rights Reserved.

当WEBサイトの記事、画像などの無断転載を禁じます。すべての著作権は神奈川新聞社に帰属します。