2014年 第6回かながわ新聞感想文コンクール

小学4年生の部 最優秀賞

「私達は仲間だよ」
秦野市立南が丘小学校 四年 石井 李咲

 「おにぎり一つずつが、その日の食事」とあった。夜になって、その日初めての食事だという。自分に置きかえて考えてみるが、想像できない。自分ならそこまでガマンできるかなと思う。おにぎりを兄妹で一つずつ食べる事はあっても、それで食事がすむ事はない。他にもおかずや、物足りないと主食も追加する。「腹八分目で終えなさい。」とよく言われるが、満腹になるまで食べてしまう。これが私の日常だ。

 おにぎりの具の種類で、兄妹げんかしている場合ではない。二種類の具で、不思議な事に必ずと言っていいほど、毎回兄と希望する具は同じ。お互い意地っ張りで、ののしりあい、時にはとっくみあいになる事もある。私達は何と、くだらない事をやっていたのだろうか…と穴があったら入りたくなった。食べるお金もない人が、この日本にもいたんだという事に、むねがしめつけられる思いがした。ここに情けない自分がいる。

 年々夏の暑さは異常になっている。エコを気にしつつも、クーラーのリモコンに手がのびる。扇風機では物足りない。ぜいたくだとわかってはいるが、クーラーのきいた部屋はひんやりしていて気持ちがいい。こんな中、電気代が払えずに扇風機すら使えないなんて。これでは熱中症になれと言っているようなものだ。実際にこの十二才の少女は、なってしまった。

 同世代の私に、何ができるのか考えた。ただ、あわれむ気持ちを持つだけでよいのか。何と声をかけるべきか。

 「『住む世界、身分が違う』って何?私はそうは思わない。逆の立場だと思ってしまうのだろうけれど、自分のカラに閉じこもらないでほしい。江戸時代ではあるまいし、身分なんてものは今の時代にはないんだよ。人間だれもが、幸せにくらす権利は平等にあるはず。『私なんかダメなんだ。』っていつも思わないでほしい。『恥』ではないんだよ。やりくりしているあなたのお母さんは、外でランチをとっているお母さん達よりもかしこいし、立派だと思う。あなたの誇りだよ。」

 先日「みんなスマホ持っているから、そろそろ買って!」と母にねだったら、この新聞記事を渡された。ゲームソフトをすでにたくさん持っている上での発言だ。ああ、何と身勝手な発言だろう。私はまだまだ未熟だ。彼女は二つしか違わないのに、考える経験をたくさんしている。私は彼女を尊敬する。

課題(1)(読売新聞 7月30日付) 
「クリスマスおにぎり1個」

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