2014年 第6回かながわ新聞感想文コンクール

小学6年生の部 優秀賞(神奈川新聞社賞)

僕のひそかな楽しみ
厚木市立小鮎小学校 六年 安倍 立矩

 僕の夏休みの楽しみは、おじいちゃん、おばあちゃんのいる九州の田舎へ遊びに行くことです。場所が遠くて年に一度位しか行く機会がないので、遊びに行く時はいつもワクワクします。けれども、楽しみはそれだけではありません。実はもう一つ、ひそかな楽しみがあるのです。それは、おじいちゃんの家の近くにあるうなぎ料理屋さんのうな重を食べることです。甘いしょう油のたれが、うなぎとご飯にたっぷりかかっていて抜群においしいのです。去年の夏はなんと三回も食べに行きました。

 六月の新聞に、うなぎに関する記事が小さく載っていました。「おっ、うなぎだ。何だろう?」と思って見てみると、ニホンウナギが国際自然保護連合(IUCU)の絶滅危惧種に指定されたと書かれていました。「えっ、絶滅?」、その時は少し驚いたけれど、それほど気には留めませんでした。

 うなぎ絶滅の記事を再び目にしたのは、七月終わりの土用の丑の頃です。うなぎは養殖しているのだから、絶滅なんて大げさだなぁと思いながら記事を読み始めました。ところが、読んでいくうちに、今まで知らなかったことがどんどん分かってきました。私たちが養殖と呼んでいたのは、うなぎを卵から育てて増やすのではなく、シラスウナギという稚魚を河口で捕獲し、それを育てて成魚にすることだったのです。また、卵から育てて増やす完全養殖はとても難しいのだそうです。さらに、日本は過去にヨーロッパウナギの資源を九十五%も消費して世界的問題に発展させた失敗があることも知りました。このような消費を続けたままで、卵から増やすことができなければ、本当にうなぎは絶滅してしまいます。「これから先、本当にうなぎが食べられなくなるのかな?」と、僕の頭の中は不安な気持ちでいっぱいになりました。

 私たちは、河川環境悪化や乱獲を防ぎ、生態を研究したりして、これ以上うなぎの数を減らさないよう努力しなければなりません。うなぎを自由に食べられる今の状況は特別なのだと考え、うなぎをむやみに食べないようにすることが、僕が協力できることの一つだと思いました。そして将来、うなぎの漁獲量が安定して、僕のひそかな楽しみが続けられるといいなと思います。

課題(1)(神奈川新聞 7月30、31日付)
「うなぎ考(上)(下)」

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