神奈川NIEミーティング

NIEミーティング議事録 2014年5月16日(金)

NIE全国センター会議室場所 NIE全国センター会議室
参加者数 23名
司会 大塚仁司(神奈川新聞社)
内容
1.参加者による「本日の新聞」紹介
サッカー日本代表のデータ、日本人の寿命、集団的自衛権、川崎臨港バス会社ストライキ、GIVANCHYの広告など。
2.本日の報告
報告者:中沢亮子先生(横浜市立神橋小学校教諭)
3.質疑応答

1年間のNIE実践報告(4年生2クラス)

・新聞の置き場所と整理の方法
廊下に新聞コーナーを作り、新聞社ごとに分類し、朝、係の児童が学校正門の新聞受けから新聞を取り出して、コーナーに置くシステムを作った。

・実践内容
6月、国語「新聞を作ろう」:新聞作りの導入で、新聞の特徴や構成を学んだ。
9月、道徳「言葉の貯金箱」:新聞から素敵な言葉を探した。切り取った言葉に児童自身がコメントを書いたりもしていた。
10月、図工「形や色を生かした」:写真をコラージュした。児童は作品に自分が考えた名前を付けていた。
11月、国語「アップとルーズで伝える」:学習で学んだ写真の撮り方について実際に新聞から探した。新聞では、スポーツ選手にはアップを、災害の写真には全体が写るようにルーズを使っていることに児童が気付いた。
1月、国語「ウナギのなぞを迫って」:新聞記事を読んで見出しをつけた。児童自身が記事の内容からキーワードを探しながら、見出しを付けることができるようなっていった。

・実践の感想と今後の課題
児童の姿としては、新聞を活用してくうちに、進んで新聞を読んでいる児童が増え、また、記事を読んで見出しを付ける宿題を好む児童が多かった。記事を読んで自然に感想を言い合う姿がとても良かった。課題としては、新聞の設置場所、新聞活用を継続していくため、学校全体でNIEをどのように広めていくか。

質疑応答

質疑応答としては、次のようなやりとりかがあった。なお、質疑応答では話し合いの形式であったため応答者は必ずしも報告ではない。

(1)子ども達のNIEの活動に関する質疑応答

Q.「子どもたちが一番楽しんでいた活動は何でしたか?」
A.「見出しをつける活動が一番楽しんでいました。どんな見出しだとみんなが目を引くのかなど見出しを付ける工夫を児童が楽しんで取り組んでいました。」

Q.「10月の図工の写真のコラージュは、どのような写真を切り抜いていましたか。」
A.「一週間以内で児童は作品を作り上げたので、色が同じや、動物シリーズなどを写真の選択理由にしていました。この活動は一回だけではなく、何度かやってみたかったです。」

Q.「1月の国語の新聞記事を読んで見出しを付けるのは、どのような見出しが面白いかを漢字、数字やひらがなを使って考えるのは面白いと思いました。」
A.「児童はこの後の読書新聞を作成するのに、この授業はとても力になりました。」

Q.「宿題であるから見出しの正解を載せているんだけど、書かなかった方が良かったかもしれない。それは、子どもたちが、正解を狙って書こうとしてしまうから。むしろ、子どもたちは正解の見出しより面白い見出しを書くこともあるのだから、皆で見出しを見せ合いどんな見出しが面白かったかについて話す方が良いのでは?」

(2)NIEのカリキュラム化、学校全体にNIEを広めることについて

Q.「NIEをする場合、時間を確保する大変さがあるけれど、それをカリキュラムするのは、新聞記事は日々変わるもだから難しいと思う。今後NIEは、時間をどう確保するのか、教科を離れてどういうふうにできるのか、NIEも変わってきているのかな?NIEは一つの教科の流れ、系統を自由に先生が行き来することができるのでは?やっぱりカリキュラムに縛られているのかな?」
A.「カリキュラムに縛られてる面もあるかもしれませんね。」

Q.「学校全体ではNIEはどのように広まっていましたか?」
A.「4年生の担任の先生方で他の先生に声かけはし合ったのですが、新聞を職員室で読んでいても他の先生は関心をあまりなさそうでした。」

Q.「新聞を読んでいたら、仕事をしろという雰囲気があるのかな?私の学校では、新聞を読むことは勉強をしているという雰囲気なんですけどね。学校によって違うみたいですね。」
A.「新聞を読むのは、NIEをしているクラスの担任と管理職の教員止まりになってしまっています。」

Q.「新聞を読まない先生方は、社会とどこに接点を持っているんですかね?」

Q.「新聞を使う理由について私は、以下の三点が重要だと思います。@楽しくなるからA助かるからB役立つからです。役立つってことを一番にしてしまうとNIEはとてもつらくなるんだと思います。新聞から色々なことを知って楽しい、活動がたのしいということをまず一番に据えることが重要だと思います。」
A.「カリキュラムにしてしまうと教師目線になってしまうと思います。子どもたちが新聞記事を選ぶ楽しさが大切であり、それをどの授業に取り扱うかをかんがえていければ…。」

Q.「まず、先生がやってみて楽しいかが重要なのではないか?そこから子どもに先生が楽しいと思ったことを実践してみるのことが大切なのでは?新聞を遊びとして利用する中で、色々な人に自然と広まっていき、その中で読んでみると楽しいとなっていけば…。」
A.「他の先生に広げるには、校長先生の協力も大切だと思う。また、先生自身がおもしろいと思った記事を他の先生に紹介してことなど。子どもの場合、先生がおもしろいと思うこと例えば新聞の上に何人の人が入れるかなど遊びを通して新聞と触れ合っていくなど。」

Q.「NIEは、ソフトムードの中でやっていく方が良いのではないか?校長先生が理解者だと他の先生やる気させてくれると思う。紙の良さとは何なのか?NIEセミナーに校長先生を呼んでみたら良いかもしれない。」
A.「子どももNIEをやり過ぎて嫌いになった経験があります…。どの程度やっていけば良いのか?生徒が選んだ記事からやっていくのが良いのではないか?」

以上のようなやりとりがあった。このやりとりの中で印象に残っているのは、NIEをどう授業に取り込んでいくか、また、NIEを学校にどう広めていくかとういう点である。まず第一にNIEを楽しんでいくことが、教師自身と子どもには重要な点である。役立つ観点を何よりも重要視した場合、両者の負担になってしまうのではないか。また、学校全体にNIEを広めていくことは、新聞を読むことが負担であると考えている教員にとっては、進んで読む気にはならないように思える。新聞を使う事で、カリキュラムに強く縛られずに、一つの教科の流れ、系統を自由に先生が行き来することができるのではないか。NIEは、楽しみながらも、教師と子どもが社会と結節点を持つ事ができる可能性があると考えられる。教師自身が面白いと思ったことを実践する場としてNIEはあるのではないかと感じている。