神奈川NIEミーティング

NIEミーティング議事録 2019年12月12日(木)18:30〜20:00

ゲストスピーチ NPO法人・FCTメディアリテラシー研究所

実践報告 @星槎高等学校    A大和市立大和小学校

ゲストの講話 「FCTの活動と新聞とのかかわり」

 メディアの「受けて」から能動的なメディアの「読み手」となり、さらには「表現の主体」となることをめざすのが、メディア・リテラシーの学びであり、取り組みです。

 定義 : 「メディア・リテラシーとは、市民がメデイアを社会的文脈でクリティカルに分析し、評価し、メディアにアクセスし、多様な形態でコミュニケーションをつくりだす力をさす。また、そのような力の獲得を目指す取り組みもメディア・リテラシーという。」

 クリティカルCritical : 批判的(非難ではなく)、メディアから一歩距離をおいて、客観的、他面的に深く考えて読み解く

  1. メディアはすべて構成されている。
  2. メディアは「現実」を構成する。
  3. オーディアンスがメディアを解釈し、意味をつくり出す。
  4. メディアは商業的意味を持つ。
  5. メディアはものの考え方(イデオロギー)や価値観を伝えている。
  6. メディアは社会的・政治的意味をもつ。
  7. メディアは独自の様式、芸術性、技法、きまり / 約束事をもつ。
  8. クリティカルにメディアを読むことは、創造性を高め、多様な形態でコミュニケーションをつくりだすことへとつながる。

 「クリティカルにメディアを読む」とはどういうことを指すのか、意見の交換がおこなわれた。クリティカルは「批判的」と日本語で訳されているが、むしろ「批評的」と捉えたほうがよいのではないかとの意見が出された。その一方で、「批評」では評論家的で、問題や課題に主体的に関わる意味合いが弱いのではないかとの意見もあった。充分な時間が取れないまま閉会となり、メディア・リテラシーを育むという観点から各自の課題として持ち帰ることとなった。

実践報告

@「公共的言語空間の創出」

 新聞の文章を通し、生徒の「表現力と社会への関心惹起」することをねらいにしたNIEの取り組みを想定している。これまで研究してきた西洋政治思想史の成果を踏まえ、18世紀の言語空間を、今ある教室に創出することを意図して取り組んでいる。

 現在、個人の成長に主眼を置いた「個の時間」で取り組んでいる。清掃とホームルーム開始前の30分間を活用し、「表現力と世(の中へ)の関心を生み出すために新聞を読み、感想を書き出して掲示する」ことを試みている。本年度の生徒への指導には、まだまだ検討の余地があり、最終報告に向けて取り組んでいきたい。

A「子どもが生き生きと活動する新聞活用学習を目指して」

 目標の設定 : 子ども・・・「新聞により親しむ」。教職員・・・「新聞の価値を再認識する」 「授業」よりも、「環境」から変えていくことを主眼に取り組んでいる。

 特に児童たちの「双方向性」を意識して、新聞コーナーにはシールを貼ったり、感想を入れるボックスを用意したりしている。若手教員には、「記事の読み聞かせ」を推奨し、新聞活用のハードルをさげる工夫もしている。また、記事の中の用語や数字で作る「スリーヒントクイズ」は、児童自身の意欲的な学習活動になっている。学校に「新聞に親しむ環境を残すこと、NIEの価値を伝えること」をテーマに取り組んでいきたい。