神奈川NIEミーティング

NIEミーティング議事録 2019年4月19日(金)

内容
講演 「著作権、学校でのICT活用教育について」神奈川新聞社デジタルビジネス局 岸純一
記録 守屋

講演「著作権、学校でのICT活用教育について」

 著作権法の概要説明と2018年5月に成立した改正著作権法(第35条−授業目的公衆送信補償金や一部非親告罪化など)について説明があった。

<要旨>

 新聞などの著作物の利用は著作権者の許諾を受ける必要がある。著作権の侵害は法人だけでなく、たとえ業務命令であっても携わった従業員も訴えられる可能性がある。また私的利用については厳格化される傾向にある。改正著作権法は、ICT(情報通信技術)の活用が進む教育現場の変化に対応するものだ。特に学校その他の教育機関における複製などについて新旧の条文を対照すると、条文の内容も含め、改正にあたっての目的や背景が見えてくる。

 第35条は授業の過程で必要と認められた限度内で複製・公衆送信できるよう改正された。ただし、著作権者の権利を保護するために、公衆通信については国が指定した団体に補償金を支払う必要がある。これにより授業で著作物を利用するたびに著作権者の許諾を直接得なくても、教員および児童生徒がメール送信やダブレット端末などに転送(公衆送信)できる。あくまでも著作権者の利益を不当に侵害しないというのが条件となる。日本新聞協会は、新聞著作物のメール送信やオンデマンド配信などに関する補償金の受け皿となり、著作権者である各新聞社に補償金の分配業務を担う「新聞著作権管理協会」を18年12月に発足させた。現在、国は補償金額や利用範囲について審議している。懸念されるのは現場が新聞の利用に対して消極的になり、委縮するのではないかということだ。現場への情報機器導入が進んでいるが著作権を考慮しておかないと、ただの箱になってしまう。

 公立学校の場合、補償金の支払いは教育委員会が想定されている。教育現場におけるICTの一層の利用促進の動きと合わせて、著作権法改正が現場の関心を喚起させる契機になればと思う。

【質問・意見】
・新聞の記事の掲示はどうなるのか。    ⇒ 現物掲示は問題ない
・著作権の承諾に時間がかかり、煩雑である。⇒ 神奈川新聞社の許諾申請書のサンプルが提示、必ず出所を明示すること、拡大等の変更も記載
・著作権法に適用するかより、著作権そのものを考える契機にしたい。
・お金がかかるから使わない、著作権が厳しいから控えるという後ろ向きな姿勢が教育現場に流れ、情報そのものに関心が払われなくなる危惧がある。

*今回は年度当初のため、実践校の報告はありませんでした。

以上