神奈川NIEミーティング

NIEミーティング議事録 2016年9月16日(金)

場所 神奈川新聞社
参加者数 27名
司会 有馬進一(神奈川県NIE特別アドバイザー)
記録 藤本健(横浜国立大学大学院生)
内容
1.NIE全国大会(大分大会)に参加しての所感
 パラリンピック、厚木爆音訴訟、蓮舫民進党新代表など。
2.報告
 @NIE全国大会(大分大会)に参加しての所感
 A実践報告 報告者
    村山正子(神奈川NIE推進委員会事務局)
    磯貝純(神奈川県立厚木清南高校)

@NIE全国大会(大分大会)に参加された方々の所感

◆記念講演「言葉に触れる、言葉で触れる」


 哲学的な語りが印象的な小野正嗣氏(芥川賞作家『九年前の祈り』)はNIEの活動の中で大切なのは「息苦しい世の中で子どもが我を忘れて楽しむ時間を生むこと」だと話していた。また、「新聞や文学に触れるということは、人間が壊れないようにするための『隙間』になる」といった発言をされていたことにもとても共感できるところがあった。

 

◆パネルディスカッション
 「楽しくなければNIEじゃない!
       〜私たちはなぜ新聞活用に取り組むのか その意義と実践のこつ〜」


 関口修司氏(日本新聞協会NIEコーディネーター)が話されていた内容が印象的だった。成績を上げるという目的のためにNIEを行うのではなく、新聞記事を眺めている中で自然に子どもたちがその記事についてディスカッションをはじめる。そこでのディスカッションから生徒たちは人と議論する力をはじめいろいろな力を結果的に身につけるのが良いのではないかという視点に共感した。直接的な利益のための窮屈なNIEよりも、もっと自由なNIE実践こそ子どもたちの足腰を強くするのではないかと改めて感じさせられた。

 また、壇上に女子中学生が立って、新聞でこのように自分は育ったと話していた姿に実践者として勇気づけられた。

 

◆質疑応答

Q.熟成させないですぐものを言わせる調べさせるというのでなく、じっくり子どもの足腰を育てている実践はあったのか、あるいはそのヒントがあれば教えていただきたい。
A.短時間で答えさせる実践はあったが…。印象ではパフォーマンス性の高い授業が多く、熟成させていたのかはわからなかった。ただ4月から7月までは(全国大会までは)教員がしっかり調べて授業を行ったのだということは伝わってきた。

A大会報告「アクティブな学びのために、新聞をどう活用するか」(全国学校図書館全国大会in神戸) 報告者:村山正子

 横浜市立緑園東小学校の先生方が全国学校図書館全国大会(神戸大会)で報告した実践を、村山先生が代わりに紹介。次回のNIE公開セミナーで改めて緑園東小学校の先生が報告してくださいます。NIE公開セミナーの詳細については以下の通りです。

【NIE公開セミナー】新聞を使ってアクティブ・ラーニング --- 学校図書館・司書と連携して
会場 日本新聞博物館2Fイベントルーム
     http://newspark.jp/newspark/information/access/
日時 11月12日(土)14:00−16:30
会費 無料

B実践報告「NIE活動の今後の可能性についての所感」 報告者:磯貝純

 報告者の勤務していた北海道札幌平岸高校は札幌において中堅の進学校であり、ほとんどの生徒が進学を希望し、実際に進学している。報告者は教員になってから新聞を色々な場面で使っていた(学級通信、ホームルーム、国語の授業など)のだが、学校ではなかなか活動の中に組み入れてもらえないという問題意識があった。そこで新聞の効果を試してみたいと思い、昨年度までの三年間実践を行った(三年目は実践指定校になっている)。

 今回の報告は第一学年の「総合的な学習の時間」で行ったNIE活動(実践)についてである(全三回)。

 第一回は、北海道新聞社の舩木理依氏を呼び講演していただいた。講演では、新聞の読み方(ざっくり読みなど)を生徒に向けて紹介するという内容であった。第二・三回は、生徒全員が北海道新聞(9月15日朝刊)を読み、そこから魅力的な記事を切り抜いて持参し、ワークシートに貼り付けコメントを記入するという作業を行った。実践を行った中で、同じ新聞を読んでも選ぶ記事が一人ひとり違ったことが明らかになり印象的であった。

 また、実践を行ってみてわかったのは以下の二つである。

 @生徒の中で新聞が縁遠くなっていたこと。

 A新聞の提示の仕方次第では生徒も新聞を楽しめるということ。

 「新聞ってこんなに楽しかったんだ」といった感想があったことからも新聞が生徒にとって身近な存在にないのだと実感させられた。ほかにも実践後、「今度おばあちゃんの家に行ったら読んでみよう」といった意見が出たことからも、新聞を雑誌感覚(月に一回読むといったような)で考えているのではないかと感じさせられた。家庭で新聞に触れる機会が少なくなっている以上、学校で子どもたちが新聞に触れる機会を増やしていくことがこれから大切なのではないか。