神奈川NIEミーティング

NIEミーティング記録 2018年6月15日(金)

内容
1.共同通信社横浜支局長 五十嵐 泰氏のお話
2.実践報告「情報リテラシーの育成」 川崎市立菅生中学校 関 信助

1.共同通信社横浜支局長 五十嵐 泰氏のお話

 共同通信社は一般社団法人であり「ニュースの卸問屋」。新聞やNHKの全国56社(朝日・読売は入っていない)の加盟社と、民間放送局110社の契約社などで、共同通信社の運営費用を負担している。

 仕事は記事を各社に送ること。各記事の「見出し」「レイアウト」などは各社の判断に任せる。海外にはロイター(英国)、AP(米国)、AFP(仏)、新華社(中国)などの通信社がある。通信社同士連携していて、「ロイター=共同」とは、ロイター通信が配信した記事を共同通信が受信したことを表している。JRのドアの上などの車内動画ニュースも、共同通信社が契約して配信している。

 1901年(明治34年)に電報通信社が、電報の制度を使って広告を付けて記事を送るシステムを始め、通信社が誕生した。国策会社であった同盟通信社が戦後、GHQにより解体された。今の共同通信社と時事通信社、広告部門の電報通信社(電通)の3社になる。

 共同通信社の職員は1500〜1600人、そのうち記者が1000人位。国内に6支社、45支局、海外支局は41。6月9日に発生した「新幹線殺傷事件」では、小田原に拠点がないため、地元紙の神奈川新聞社のサポートを受けた。

 重きを置くのは、政治、経済、外信、社会、運動などだが、政治や運動関係は、取材をされる人が必ずしも本当のことを言わないという点で取材が難しく、それぞれの分野で専門記者を育て配置している。

 政治面で「首相動静」は読者の興味を引く記事で、購読率は高い。総理官邸から協力はなく、取材し作っている。総理番は各社いるが、共同と時事の2社は、総理について回ることが官邸に認められている。総理番が朝8時から深夜12時まで総理官邸で取材している。総理がどこかへ出掛けるとき、共同と時事は車で帯同できる。若い記者をつけるが、その理由は総理が政治の中心であり、同時に「嘘を話す可能性が低い」から。日本は記者会見がまだまだ少なく、会見でもしゃべる政治家も少ない。政治取材の難しいところで、夜討ち朝駆けになりやすい。

 記者の心得は、「1つ1つの事実は見方で変わる。でも、事実の取材を積み重ねることで『円』、つまり真実に近づけていくこと」。写真も同じで、今日の記事なら、レスリングの栄監督(上から撮るか下から撮るか)や拉致被害者家族の横田早紀江さん(せつせつとした印象に)の写真も、撮る角度、タイミングで印象が違う。

 ネット(間違っていても拡散していくと正しいもの、とされる傾向あり)の時代で、新聞は苦しい。しかし、共同通信や朝日新聞が、南ドイツ新聞などと連携して取り組んだ「パナマ文書」報道のように、志ある記者が協力し合って真実を暴いていくなど新しい試みも始まっている。

2.実践報告「情報リテラシーの育成」 川崎市立菅生中学校 関 信助

 情報リテラシー育成のために様々な活動を試みている。特に、校外学習や修学旅行などの行事で事前学習や事後学習に新聞を作成し、その目的や成果を明確にしている。6月9日〜11日までの京都・広島修学旅行の新聞発行は6月15日というように、速報性を重視している。職員室前や図書室のNIEコーナーや壁新聞の積極的活用で、情報リテラシー力の向上を図っている。この活動を全県に広める努力をさらに積み重ねていきたい。